晴れの国オカヤマには珍しくしとしと雨の夜、
ジャズライブは行われた。
新天地育児院内の一部屋が、
いつもと違う空間となる。
名だたるメンバーが、
子どもたちへ特別な時間をプレゼントするため集結した。
2年前に続いて2度目のライブとなる。
メンバーは、
世界的なベーシストである
ノーム・ストックトン氏(Norm Stockton/Bass)をはじめ、
スコット・チャドウィック氏(Scott Chadwick/Tp.)
荒木博司氏(Gt.)
冨川政嗣氏(Drs.)の4人。
ノームさんは、
今年も、ツアーやレコーディングで世界中を回る
その合間に、ここへ立ち寄ってくれた。
小さな施設の、
小さな部屋の、
小さな子どもたち20数人の前へ。
バンドメンバーにはこう話していた。
「今回のツアーのハイライトはこの場所なんだ。
今夜を一番楽しみにしていた。」
子どもたちはニコニコ。
思い思いにジュースやポップコーンを手にし、
心地良いサウンドに心身を浸す。
なんとも特別な、贅沢な時間。
演奏者たちの、子どもたちを見つめる眼差しも温かい。
大舞台でも大観衆でもないこの小さな演奏会こそ、
彼らにとっては、代えがたい価値のある特別なものなのだ。
終演後には、早速子どもたちに囲まれ、
サインや写真撮影にも気軽に応じていた。
モデル志望の女子からのポーズ指定にも、
快く乗っている姿は、微笑ましくもあった。
彼を通して、岡山孤児院を創設した石井十次が見える思いがする。
石井十次も、キリストを信じる信仰に心燃やされ、
何千人もの子どもたちを救った。
石井は、事あるごとに周囲にこう話していたという。
「これは神さまのお事業だから、神さまのお心のままに働くだけだからね」。
演奏途中で、ノームさんが、
日本語堪能なスコットさんの通訳を介して
ご自分のことをお話してくださった。
「神さまは、私たち一人ひとりを愛し、一人一人をよく知り、
素晴らしい計画をお持ちだ。それを忘れないでほしい。」
そう語るノームさんの、静かで穏やかな表情が印象的だった。
